邂逅の歓喜

この言葉って、学生時代夢中で読んだ、亀井勝一郎の「人生論」に出て来た言葉だが、この歳でも染み出て来る。

いや、むしろこの歳になったからこそ、久しぶりに会う人たちや、久しぶりに見る景色などに感ずるのかもしれない。

そして、この頃に培った感性が、

古い景色のみならず、新しい景色や、新しい感性の作品にも、

「良い物は良い」と感じとれる素地を形成されたのだと今改めて思う。


60年代の終焉へのカウントダウンと同時に「激動の70年代」という声があちこちから沸々と湧き始めたこの頃、

「亀勝
の人生論」・「柴田翔のされど我らが日々」・「五木寛之の蒼ざめた馬を見よ」のいずれかを、

新宿西口を出たところ
芝生だったグリーンの淵に腰掛て 読んでいる若者が必ず居たもんだった。 

が、

ヒイラギの様な棘の有る植栽に換えられ、腰掛けたり出来なくなったのも我々年代のせいでもある。



30年以上前だと思うが、清原光学からソフトフォーカスレンズが発売された。


ベス単フード外しの季刊写真誌『光大』1986年4月号に「VR70R試作完成」という見出しで発表された。

そして、普通の写真好きは、殆ど手にもしない専門書的な月刊誌に

ひっそりと、モノクロの広告が出ていた。


「欲しいなー」と思ったが、日常的に使うレンズでもないし、

「買っておこう」的な価格ではなかったが、「いつかは」とは思っていた。

がぁ

「『ベス単フード外し』を髣髴とさせるその描写」とかなんとかいうタイトルで

このレンズを取り上げた記事が載った、一般的なカメラ雑誌が発売と同時に

VK70Rは売り切れた。

「嗚呼・・・神は我を見捨て給もうたかぁ・・・・」



こういうマニアックなレンズは、なかなか中古市場には出ない。

しかし、ソフトフォーカスの写真を見るたびに思っていた、

「あの時、思い切って買っておけば・・・」って。


で、時を同じくして、ケンコーのソフトフォーカスフィルタ、ソフトンとか使用した

写真の応募がカメラ雑誌に増えたりもした。

また、フィルタにワセリンを不規則に塗ったり、ストッキングをレンズの前に張ったり

レンズの前にセロファンをくしゃくしゃにして取り付けたりして

『神に見捨てられた人たち』は、「太鼓」や「クロス」に頼らず

ソフトフォーカス写真の、自主独立かつ、危うい足取りで、泥にまみれてあぜ道を歩んでいた。


しかし、神の寵愛を受けた

「キヨハラ」のレンズのオーナーたちは

「沈黙を守り」(密教化したのか)それで撮った

ソフトフォーカス写真の応募は、皆無に近かったと記憶している。



で、路端の道祖神のご加護により?

このたび、ふとしたことで出会い、早速、購入した。

のちに50mmも出たが、これは最初に発売したVK70R F.5だ。


この70mmのレンズ、楽しめそう・・・かな?

詳細については、これからおいおいと・・・


この 『万華鏡ひとり戯れ』Vol.38は、そのテスト写真とも言えるものの羅列となるかもしれない。





しかし、いざ入手してみると、どう使ったらいいか分からない。

このページの背景の色さえ迷ってしまった。


こう言っちゃあなんですが、私はどんなレンズも、

他の方が、「意外っ!」て言う様な使い方までして、使いこなしてきたし、

遠くに撮影旅行に行かなくても、撮影会に参加しなくても、

近所をブラクラしながら、私なりの感性でそれなりの写真は撮ってきた、という自負は有る。

うーん

こんな経験は初めてだ。


ただ、心に有るソフトフォーカス写真は、

中学一年の時、教師に見せてもらった、新婚の奥さんの眩しそうな笑顔の写真

そして

写真誌で見たポルトガルの坂道に一匹の黒い犬がいた写真

この二枚だけ。

このらを目指して、練習してみようかな・・・。


と、いう訳で、殆ど実験的な写真がこのページには溢れると思うが、ご了承を。



このページのは全て絞り開放です。

なんせ、フィルター(49mmφ)を装着したら、それを外さなきゃ絞りの調整は出来ないし・・・。


その上、「ベス単フード外し」を彷彿と・・・というのに

フードまで買っちゃって装着・・・ま、これはあんまり関係ないみたいだけど。


で、このフードは、ライカなどのレンジファインダのカメラの

視野の邪魔にならぬよう、スリットが入ったのだし、28mm位のレンズでも、ケラれそうも無いのだし

言うなれば、ぶつけた場合の緩衝材的なもんと、思っている。

 

fl

まずは、オーソドックスに花なぞを・・・例によって名は知らないのだが。


『清々しき露地へ差し込む朝陽さえ 湿り気路地裏 ベス単フード外し』
 AgX

などと詠んだりしてみました。もし、仮に、ほかの歌も見てみたい、と言う方がいらっしゃいましたら

『風の色の休日』 にお出かけください。


kokkou

非常時には全国と連絡を取り合うであろう国土交通省の鉄塔の側を朝のカラスが飛んでいた。

写らないと思ったのに、写っていた。


『目安なりし国交省のアンテナで左に折れて真東を向く』

 


mukai

『今し方バーの灯は消え路地裏は人影も消え猫歩み行く』  AgX

う~ん、電燈が点いていたら、どう写るんだろう、撮ってみなくっちゃぁ・・・。




で、早速撮ってみた。


syo


syo-sakura


tsutsuji

白いつつじ

写真とは関係ないけど、DreamweaverCS6のフォントの指定方法がいまいち掴めない。

最初にページ全体のを指定するのだろうか。違うフォントを混ぜて使用する場合はどうするのだろう


現段階では、偶然の所産だ。
で、どうにもならない時は途中で保存し、昔のを立ち上げて直すという原始的な方法でやっている (/・_・\)アチャ-・・

なんか、キヨハラで撮った写真には、明朝のコメントが似合うような気がするが、思い通りになら無いジレンマ、中々慣れないもどかしさも存在する。



tokai

子供の頃、何かで見た、都会の景色のように写った。

ワタクシAgX的には、これはお気に入りの一枚。


sanpo

ここは、毎朝の黒猫との散歩の帰り道。

 



自販機内のは少しアンダーな気も。



スタンドにピントを合わせたのだが・・・。

choco-1

動くワンちゃんとかは、フォーカスが難しい。試しにフォーカスエイドを見てみたが合焦点は得られなかった。

で、昔使ったフルマットのファインダーの様な懐かしさも味わいいつつ撮った。


choco-2

露出は少しアンダーな様な気がする。これらワンちゃんの3枚は、PhotoshopCS6の自動カラー補正を掛けてみたら、ま、いい感じ。

Photoshopの進化には、いつも感心させられる。なんせ、CSになる前のPhotoshop5から使い続けているので、他は使えないともいえる。



choco-3

50mmくらいでお二人とも納まるのだが、70mmでのUPもワンちゃんと、人物は切れながらも表情はむしろ強調された。

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