2009年11月に詠みし歌
私にも胡蝶蘭が咲かせらる 花芽が出たよ祈ってたんだ
首すじに深手負いつつしたたかに逃げまくる夢の亀は私ね
初雪にぎんもくせいはほころびて 無上の香り冷気に放たる
鉢植の ヘリになめくじ迷い出て 馴染んだ庭の異変に気付く
クリスタル 鬼門にあたる踊り場に 置いて眺める 秋の夕暮れ
光の中 こぼれあふれる白い花 かくあれと信じ来たんだけれど
ジャスミンの香りするてふ線香を 一本立てて願い事する
日々伸びる花芽を見ては驚くよ 宇宙をめざし曲線描く
鎮静の効果あるてふサフランの畑に眠むらむ 赤に染まって
マンホールの縁に積もった土くれに 緑が芽吹く木枯らしと言ふに
若き日の風見る先に陽落ゆく明日の知らせは背中で聴きつつ
Photo Hohnan-KUROKAWA
名にしおう 都大路の山王のコンビニで売れる いわしの缶詰
一枚の葉も残さずに散り果てて 堂々の枝 千手観音