あす朝は ケーキ屋さんの二階にて ブランチいかが? このごろ どうなの
キャンセルの後に 三倍 新予約 冬来たりなば 春遠からじ
如月の歌集の背景春めきて 連なるツララ 溶かし始めし
ご近所のケーキ屋さんの日よけには 南欧の色 安らぐ北国
子の頃は アリは友達と 巣を壊し 人生後半 命にぐっ と来る
朝方に すずめの声を少し聞き 他のものの息 久々感ず
夜になり 氷は緩み 雨となる 明日から春だと どんなに良からむ
雷鳴は 地を揺るがして 轟きぬ こんな夜中に 我が猫いずこ
北の町 娘がランチとりし店 我 若き頃 訪ねし店 かも
宮城県と いへば同じ東北なり 狩野 英孝の ドッキリ赤面
火の気ない 家に帰って 火をつけて 暖まるまで 秒針カチコチ
小雪ふる 二月の予約 有り難き 梅 桃 桜 一気に咲くらむ
鉢植えは 冬の部屋にて凛と立ち もう春かとも 聞かず 待ち居る
夢の中 怖いゾンビが飛び出して おもわず 「切」 押し 目覚める驚き
雪の下 枯れ葉が姿あらわして 去年 (こぞ) とり残した 葉っぱを拾う
泥かむる 除雪の山に散水し 表れきたる 美しき氷
短歌にも 王道ありしか 大賞は 明るき作なり 哀歌は難き
新しき 携帯電話 晴れがまし 娘のお古なればなりけり
雪下より パセリ、セルフィ-顔出して 青さを見れば
生える気十分
通院は み月毎なり喜びが ふた月後には恋しさに変化
携帯を換えた妻のがうらやまし 新機能増え 苦労を見れど
五七五 歌詠む我は 指を折り 言葉を探す 詠まずの七日分
渡り鳥 北を目指して帰るのか 二月の風を 三角に切り
真冬道 軽く埃を舞いあげて 我が家を目指す 衿はゆるめず
薫香は 春の部屋に満ち満ちて 薄紅の薔薇を芯に 渦巻く
紙粘土 叩いてちぎって 一日中 細工してた娘(こ) 夕方 熱出す
この店で 一番安い聖チョコは 千二百円選ぶ余地なし
うさぎチョコ 棒に刺さって片隅に 手に取りレジへ向かえば
ぴょん
スーパーの ねぎトロハートに型抜かれ まぐろの生涯 痛ましく思ふ
思ほへば 赤子の頃より器用なり チョコ作る娘の センスに驚嘆
一吹きで 真冬に変える雪乙女 天に住むらむ 地にも住むらむ
神社森 小さな村のお祭りに テキヤ来たりぬ 二組ながらも
手相見に バスに乗って会いに行き 事故に注意と宣託下る
久々に 駅前辺りに出かけたり 人かずまばら ここ山王よりも
冬まえに 小さな庭に蒔き置きし 寒肥 効きしかロビンの芽 張る
するすると 木立の間をすりぬけて 緑の風は香り残せり