垂 木
2014年8月に詠みし歌
最新更新日 2019年3月3日
ひさかたの光あたれりホール午後 病は軽ろし病棟静か
弛緩して生きてきた身にはちょとキツイ入院中のささやかなルール
入院の朝 小雨で散歩できず
入院を説明すれど黒猫は 知らぬ振りして足の甲から降りず
あしたから入院すると思うから 万が一への七拾八歌集
気配消す 技の道場この根元 免許皆伝一子相伝
カラス来て交わす挨拶旧盆は 無採の地味が本日派手と
松の陰今朝は登らず思考する ゲーテを真似て「もっと光を」と
無防備に腹を見せても耳こちら 安心なのか不安なのかや
朝ぐもり常よりのろく散歩道 足の裏への記憶は確か
明日朝は晴れたら散歩 伝えれど真を問うごと猫大あくび
入院の別れを知るや黒猫は 時々見上げ傍を離れず
入院の準備ひとりで終えし時 独身で過ごす友の顔浮かばむ
冷静な富山商高好投手 監督インタヴューに目頭熱くなり
エナジーを血肉としてや読み終えど 秋風五丈原 仲達走らすとも
入院の前に終えようと持ち歩き待合室で読む三國志
三國志ブラックジャック読み掛けで二つの栞ベッドサイド
ぽっかりとそりゃぁぽっかりと浮かぶ雲 黒猫弾む 散歩再開
一夜明け近未来へと黒甕を二本準備仕り候
宣告とささやかなりし天恵が重なりたるも小雨のタクシー
このページのTOPへ戻る
目次ページへ戻る