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SINCE 2008/10/27


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枕詞
 


 (あ)

 茜アカネさし      照れる月夜ツクヨ
 茜さす       日・昼・紫・君
 明星アカボシの     明く・飽く
 あからひく     日・朝・膚・色
 秋風の       千江チエ
 秋霧の       立つ・晴れぬ・まがき
 秋草の       結ぶ
 秋津島       大和
 秋の夜の      長し
 朝柏アサカシハ      うる
 朝霞アサガスミ     八重・か・ほのかに・春日カスガ
 朝顔の       咲く・離サく
 朝髪の       乱る
 朝霧の       八重山ヤエヤマ・おほに・思ひまどふ・乱る・消ケやすき
 朝霜の       消ケ
 浅茅原アサヂハラ    つばらつばら・小野ヲノ・茅生チフ
 浅茅生アサヂフの 小野ヲノ
 朝づく日      向かふ
 朝露の       消ケ・置く
 朝鳥の       朝立つ・通ふ・音ネ
 朝日の       ゑみさかゆ
 麻裳アサモよし 紀・城キ
 葦垣アシガキの     古フル・乱る・外ホカ・間近し
 葦が散る      難波ナニハ
 葦田鶴アシタヅの    音ネになく・たづたづし
 葦の根の      ねもごろ・夜・世・よ
 あしひきの     山・峰ヲ
 あぢさはふ     目・夜昼
 あぢ群ムラの     騒く
 梓弓アヅサユミ     引く・立つ・すゑ・もと・はる・よる・音・い・いる
 天数アマカゾふ     大津
 天雲アマクモの     よそ・別れ・行く・たゆたふ・たどきも知らず・奥
 雨隠アマゴモり     笠カサ
 雨衣アマゴロモ      蓑ミノ
 天離アマザカる     鄙ヒナ
 天飛アマダむ     軽カル
 天伝アマヅタふ     ひ
 天アマつ水      仰ぎ待つ
 天照アマテるや  日
 天飛アマトぶや     軽カル・領巾ヒレ
 天アマの原      富士
 天彦アマビコの     音
 海人アマ小舟ヲブネ   泊瀬ハツセ
 天アメ知るや     日
 天アメなる      日・ひ・ささら
 雨降れば      笠取山カサトリヤマ
 天降アモりつく    天の香具山・神の香具山
 粗金アラガネの     土
 荒妙アラタヘの     藤フヂ
 あらたまの     年・月・日・経フ・来経キフ・春
 洗ひ衣ギヌ      とりかひ川
 霰アラレ打つ      あられ
 霰アラレ降り      かしま・きしみ・遠トホ
 あり衣ギヌの     宝・三重ミヘ・あり・さゑさゑ
 荒磯波アリソナミ あり
 在千潟アリチガタ    あり
 在アり根よし     対馬ツシマ
 有間菅アリマスゲ あり
 沫雪アワユキの     消ケ・わかやる
 青雲の       出イづ・白
 青丹アオニよし     奈良・国内クヌチ
 青旗の       木幡コハタ・忍坂山オサカノヤマ・葛木山カヅラキヤマ
 青柳アヲヤギの     いと・かつら・細き眉根マユネ

 〈い〉

 鯨イサナ取り      海・浜・灘ナダ
 漁イサり火の     ほ
 いしたふや     あまはせづかひ
 石走る       滝・垂水タルミ
 いすくはし     くぢら
 磯貝イソガヒの     片カタ
 石上イソノカミ      古る・降る・振る
 磯松イソマツの     常に
 いなのめの     明く
 稲筵イナムシロ      川・敷く
 石葛イハツナの     返る
 石橋イハバシの     間・遠き・近き
 石走イハバシる     たぎ・垂水タルミ・近江・神南備山カムナビヤマ
 家つ鳥       かけ
 射目立てて     跡見トミ
 妹イモが家に     伊久里イクリ
 妹イモが門カド     出イづ・入る
 妹イモが着る     三笠ミカサ
 妹イモが袖ソデ     卷来マキキ
 妹イモが手を     取石トロシ
 妹イモが目を     み
 妹イモが恋ひ     吾アガの松原
 射ゆ獣シシの     心を痛み・行きも死なむ
 入り日なす     隠る
 入れ紐ヒモの     結ぶ

 〈う〉

 窺ウカねらふ     とみ
 打ち麻ソやし     麻績ヲミ
 打ち麻ソを      麻績ヲミ
 うち手折タヲり    多武タムの山
 うち靡ナビく     草・春・黒髪
 うち上る      佐保
 うち日さす     宮・都
 打ち寄する     駿河スルガ
 うつせみの     命・世・人
 虚木綿ウツユフの    こもり・まさき
 鶉ウヅラ鳴く     古フる
 鶉ウヅラなす     いはひもとほり
 卯ウの花の      う
 うばたまの     黒・やみ・夜・夢
 うまこり      あや
 味酒ウマザケ      みわ
 味酒ウマザケの     三諸ミモロの山
 味酒ウマザケを     みわ・かむ
 美ウマし物      あへたちばな
 績ウみ麻ヲなす    なが
 埋ウもれ木の     あらはるまじ・下・知れぬ

 〈お〉

 沖つ鳥       あぢ・かも
 沖つ波       頻シく・諍キホふ・撓トヲむ・高し・君を置きて
 沖つ藻モの      なびく・隠ナバる
 奥山の       真木マキ
 おし照る(や)   難波ナニハ
 おふシモト     もと
 大君の       三笠ミカサ
 大口の       真神マカミ
 大伴オホトモの     見つ
 大鳥の       羽易ハガヒの山
 大船の       たのむ・たゆたふ・ゆくらやくら・ゆた・香取カトリ・津守ツモリ・
           わたり

 〈か〉

 かき数ふ      二フタ
 かきつばた     にほふ・につらふ・さき
 かぎろひの     もゆ・ほのか・ひ・春
 笠カサの借り手の   わ
 樫カシの実の     ひとり
 霞カスミ立つ      春日カスガ
 風の音トの      遠し
 蛙カハヅ鳴く     いづみ・かは
 神風カムカゼの     伊勢
 神風カムカゼや     五十鈴イスズ・御裳濯川ミモスソガハ
 唐櫛笥カラクシゲ    明く・開く
 唐国カラクニの     から
 唐衣カラコロモ      きる・たつ・すそ・たもと・ひも
 唐錦カラニシキ      裁つ・織る・縫ふ
 刈り菰コモの     乱る
 刈萱カルカヤの     乱る・束ツカ・穂

 〈き〉

 君が着る      かさ
 君がさす      かさ
 君が代に      あふ
 肝向かふ      心
 切り髪の      子

 〈く〉

 草陰の       あ
 草枕クサマクラ      旅・度タビ・たで・かりそめ・夕・むすぶ・つゆ
 釧クシロ着く      手タ・手節タブシ
 葛クズの根の     遠長に
 葛クズの葉の     恨み
 雲隠れ       遠し・退ソく
 曇り夜の      まどへる・たどきも知らぬ・あがしたばへ
 雲居なす      心いさよふ・心もしのに
 呉竹クレタケの     よ・ふし
 紅クレナヒの      うつし・あさ・ふりいづ・色に出イづ・飽く
 呉服クレハトリ      あや
 黒鳥の       なづさふ

 〈け〉

 今日今日ケフケフと   飛鳥アスカ

 〈こ〉

 琴酒を       押し垂れ
 言コトさへく     韓カラ・百済クダラ
 特負牛コトヒウシの    みやけ
 木コの暗クれの    しげき
 木コの暗クれ闇ヤミ   うづき
 恋衣        なら
 高麗コマ剣ツルギ    わ
 高麗コマ錦ニシキ     ひも
 薦畳コモダタミ      重ヘ
 薦枕コモマクラ      旅寝・まく・あひまく
 隠コモり口クの     泊瀬ハツセ
 隠コモり津ヅの    下
 隠コモり沼ヌの     下
 小余綾コユルギの    いそ
 子らが手を     まく・まき
 衣手の       別る・真若・た・名木ナギ
 衣手を       打廻ウチミ・あしげの馬

〈さ〉

 三枝サキクサの     なか・三つ
 割サき竹の      そがひ・とをを
 拆釧サククシロ      五十鈴イスズ
 さ衣の       小ヲ
 細蟹ササガニの     いと・くも・い
 小波ササナミの     あやし・よす・よる・なみ
 楽浪ササナミや     志賀・近江
 細サザれ波      立つ・しく・間なく・止ヤむ時なし・越路コシヂ
 指進サシズミの     栗栖クルス
 さし並ナみの     国・隣
 指サし昇る      ひ
 さし楊ヤナギ     根
 刺す竹の      君・大君・皇子ミコ・舎人男トネリヲトコ
 猟人サツヒトの     ゆ
 さな(ね)葛カヅラ  さ寝ずは・のちもあはむ・いや遠長く・ありさりて
 さにつらふ     もみち・色・ひも・妹イモ・わが大君
 さねなし      相模サガム
 五月蝿サバヘなす   満つ・沸く・騒ぐ・荒アラぶ
 囀サヒヅらふ     漢アヤ
 囀サヒヅるや     柄カラ
 佐桧サヒの隈クマ    ひのくま川
 小百合花サユリバナ   後ユリ
 小男鹿サヲシカの    入り・入り野

 〈し〉

 敷島の       大和
 敷き妙タヘの     枕・衣・袖ソデ・手枕・袂タモト・家・床・敷く
 頻シく波の      しばしば・しくしく
 ししくしろ     熟睡ウマイ・黄泉ヨミ
 下紐シタヒモの     下ゆ
 倭文環シツタマキ     いやしき・数にもあらぬ
 息長鳥シナガドリ    猪名ヰナ・安房アハ
 しなざかる     越コシ
 しなたつ      筑摩ツクマ
 しなだゆふ     ささなみぢ
 級シナ照る(や)   片カタ・鳰ニホの湖
 信夫山シノブヤマ    しの
 潮船の       並ぶ・置く
 島つ鳥       鵜ウ
 白香シラカつく     木綿ユフ
 白雲の       たつ・絶ゆ
 白菅シラスゲの     真野・知る
 白露の       置く・起く・消ケ
 しらとほふ     小新田山ヲニヒタヤマ
 白鳥の       飛ぶ・鷺サギ
 白波の       いちしろく・よる・かへる
 しらぬひ      筑紫ツクシ
 白細砂シラマナゴ    三津
 白真弓       い・ひく
 しろたへの     衣・天領巾アマヒレ・たもと・そで・たすき・ひも・帯・雲・雪・
           波・羽・藤江フヂエの浦

 〈す〉

 菅スガの根の     ねもころ・長し・絶ゆ・乱る
 鈴が音ネの      早馬ハヤマ駅ウマヤ

 〈そ〉

 翠鳥ソニドリの     青
 天数ソラカゾふ     大オホ
 そら(に)みつ   やまと

 〈た〉

 高座タカクラの     三笠ミカサ
 高知るや      天アメの御蔭ミカゲ
 高照らす      日の皇子ミコ
 高行くや      はやぶさ
 タク(栲)綱ヅノの  しら・しろ・新羅シラギ
 タク(栲)繩ナハの  長き・千尋チヒロ
 タク(栲)領巾ヒレの かく・白シロ・鷺サギ
 タク(栲)衾ブスマ  白シロ・新羅シラギ
 畳薦タタミコモ へ・重ね編む
 たち鴨コモの     立ちの騒き
 大刀タチの後シリ    さや・玉
 立花の       古婆コバ・美袁利ミヲリ
 立花を       守部モリベ
 玉かぎる      日・夕日・ほのか・はろかに・磐垣淵イハガキフチ・ただ一目のみ
 玉勝間       あふ・あへ・しま
 玉葛タマカヅラ 絶ゆ・遠長し・はふ・繰る
 玉衣タマキヌの     さゐさゐ
 魂極タマキハる     内ウチ・命・世・わ
 玉櫛笥タマクシゲ    箱・ふた・身・開く・明く・奥・おほふ
 玉釧タマクシロ      手に取り持つ・纏マく
 玉襷タマダスキ     うね・かけ
 玉垂タマダれの を
 玉章タマヅキの     使ひ・妹イモ
 玉の緒の      長し・短し・絶ゆ・継ぐ・思ひ乱る・うつし・あひだもおかず
 玉囃タマハヤす     むこ
 玉桙タマボコの     道・里
 玉藻タマモ刈る     沖・敏馬ミヌメ・辛荷カラニ(藻ノアル場所・地名ニカカル)
 玉藻タマモなす     浮かぶ・寄る・なびく
 玉藻タマモよし     讃岐サヌキ
 たもとほり     往箕ユキミ
 垂乳タラチし(の・や) 母
 垂乳根タラチネの    母・親
 たらつねの     =たらちねの

 〈ち〉

 乳の実の      父
 千葉の       葛カヅ
 千早人       宇治
 千早振る      神・宇治

 〈つ〉

 栂ツガの木の     つぎつぎに
 月草の       うつる・消ケぬ・仮
 つぎねふ(や)   山城
 槻弓ツクユミの     臥コやる
 つつじ花      にほふ・にほえ
 津の国の      難波ナニハ・長柄ナガラ・御津ミツ
 つのさはふ     いは
 妻隠ゴモる      家ヤ・室ムロ・小佐保ヲサホ
 露霜の       置く・消ケ・過ぐ・秋
 剣太刀ツルギタチ    身に添ふ・名・己ナ・磨トぐ・斎イハふ

 〈て〉

 照る月の      飽かざる

 〈と〉

 栂トガの木の    つぎつぎ
 解き衣ギヌの     乱る
 時つ風       吹飯フケヒ
 鳥網トナミ張る     坂手
 飛ぶ鳥の      あすか
 遠つ神       わが大君
 遠つ国       黄泉ヨミ
 遠つ人       待つ・松・雁カリ
 燈トモし火の     明石アカシ
 鳥が鳴く      東アヅマ

 〈な〉

 泣く児コなす     音ネのみし泣かゆ・慕ひ・言コトだに問はず・靱ユキとりさぐり
 鳴く鶴タヅの     ね・間マ無く時なし
 鳴く鳥の      声なつかし・間マなく時なし・泣きかへらふ・継ぐ
 投ぐる矢サの     遠さかる
 夏草の       深し・しげし・萎シナゆ・野・ね・は・かり
 夏葛ナツクズの     絶えぬ
 夏衣        うすし・ひとへ・かとり
 夏麻ナツソ引く     うな・う・い
 撫子ナデシコが     花
 名告藻ナノリソの    な・なのる
 繩海苔ナハノリの    引かば絶ゆ
 なまよみの     甲斐カヒ
 波の穂の      いたぶらし
 弱竹ナヨタケの     とをよる
 鳴る神の      音

 〈に〉

 庭潦ニハタヅミ     流る
 庭つ鳥       鶏カケ
 庭に立つ      麻
 鳰鳥ニホドリの     かづく・葛飾カヅシカ・なづさふ・息長オキナガ・並びゐ

 〈ぬ〉

 萎草ヌエクサの     女メ
 ヌエ子鳥コトリ     うら泣く
 ヌエ鳥ドリの     片恋い・のどよふ・うらなく
 ぬばたまの     黒・夜・闇ヤミ・今宵コヨヒ・月・夢・夕・駒コマ・妹イモ

 〈ね・の〉

 根蓴ネヌナハの     長く・くる・寝ぬ
 野つ鳥       きぎし

 〈は〉

 梯立ハシタテの     くら・くま
 旗薄ハタススキ      穂・うら野
 花筺ハナガタミ     め
 花細ハナグハし     葦アシ・桜
 はねずいろの    移ろひやすし
 柞葉ハハソバの     母
 這ハふ葛クズの    絶えず・いや遠長く・行くへもなくや・後もあはむ・下よ
 這ハふ蔦ツタの     別る・おのがむきむき
 早川の       塞セく・行く
 隼人ハヤヒトの     薩摩サツマ
 春霞ハルガスミ     春日・井上ヰノヘ・立田タツタ・立ち・おぼ・よそ
 春風の       音
 春草の       珍し
 春草を       馬咋山ウマクヒヤマ
 春鳥の       さまよふ
 春の日の      長し
 春花の       珍し・にほひさかゆ・盛り・たふとし・移ろふ
 春日ハルヒの      春日カスガ
 春日ハルヒを      春日カスガ

 〈ひ〉

 光る神       なりはた
 引け鳥の      引け
 久方の       天・雨・空・月・月夜ツクヨ・都
 ひな曇り      碓氷ウスヒ
 日の暮グれに    碓氷ウスヒ
 日の本の      やまと
 ひも鏡       能登香ノトカ
 ひもの緒の     入る・いつがる

〈ふ〉

 深海松フカミルの    深め・見
 ふさたをり     多武タムの山
 ふた鞘サヤの     家を隔てて
 藤波フヂナミの     思ひまつはり
 船余フナアマり      帰る
 冬木如ノす 幹カラ
 冬草の       離カる
 冬篭フユゴモり     春・張る
 古衣        うつてし人・真土山マツチヤマ
 降る雪の      白髪・いちしろし・消ケ・日ケ・行き

 〈ほ〉

 星月夜       鎌倉
 細領巾ホソヒレの    =たくひれの
 螢ホタルなす      ほのかに
 ほととぎす     飛ぶ

 〈ま〉

 真鉋マガナ持ち    弓削ユゲ
 真金マガネ吹く    丹生ニフ・吉備キビ
 真木マキ裂く     桧ヒ
 真木マキの立つ    荒山アラヤマ
 真木柱マキバシラ    ふと
 枕づく       つま
 真菰マコモ刈る     大野川原・淀ヨド
 真菅マスガよし    そが
 ますらをの     たゆひ
 真澄鏡マソカガミ    清き・照る・みがく・影・向かふ・見る・かく・面影・ふた
 真玉付く      を
 松が根の      待つ・絶ゆることなく
 まつがへり     しひ
 眉引マヨビきの    横山

 〈み〉

 水鴨ミカモなす     二人フタリ並び居ヰ
 みくしげの     ふた
 御食ミケ向かふ    淡路・南淵山ミナブチヤマ・味原アヂフ・城キ
 御心ミココロを     吉野・広田・長田
 み薦コモ刈る     信濃
 み篶スズ刈る     信濃
 瑞垣ミヅガキの    久しき
 水茎の       水城ミヅキ・岡ヲカ
 三つ栗クリの     なか
 水ミヅ溜タマる     池
 水伝ふ       いそ
 水鳥の       鴨カモ・浮き・青葉・立つ
 みつみつし     久米クメ
 みてぐらを     奈良
 みどりごの     はひたもとほる
 水無ミナし川     絶ゆ
 水注ミナソソく     臣オミ・鮪シビ
 蜷ミナの腸ワタ     か黒し
 み冬つぎ      春
 みほ鳥の      潜カヅき
 三諸ミモロつく     鹿背山カセヤマ・三輪山

 〈む〉

 むばたまの     =ぬばたまの
 群肝ムラギモの     心
 紫の        粉滷コガタ・にほふ・名高ナダカ
 群玉ムラタマの     枢クル
 群鳥ムラトリの     群れ往イぬ・群ムラ立つ・出イで立つ・朝立つ
 むろがやの     つる

 〈も〉

 望月モチヅキの     たたはし・足る・めづらし
 モチ鳥ドリの     かかる・かからはし
 もののふの     八十ヤソ・い・宇治
 もみぢ葉の     過ぐ
 百岐年モモキネ     美濃
 百敷モモシキの     大宮
 百小竹モモシノの    三野ミノ
 百足モモタらず     八十ヤソ・五十イ・山田・いかだ
 百伝モモヅタふ     敦賀ツルガ・鐸ヌテ・磐余イハレ・八十ヤソ

〈や〉

 焼き太刀タチの    と・へ
 焼き太刀タチを    と
 焼く塩の      からし
 八雲さす      出雲
 八雲立つ      出雲
 八尺鳥ヤサカドリ    息づく
 やすみしし     わが大君・わご大君
 やつめさす     出雲
 八重畳       へ
 八穂蓼ヤホタデを    穂積ホヅミ
 八百土ヤオニよし    きづき
 山川の       たぎつ
 山菅ヤマスゲの     みだる・そがひ・やま・み
 山たづの      迎へ
 山吹の       止ヤむ
 闇ヤミの夜の     行く先知らず

 〈ゆ〉

 行く影の      月
 行く川の      過ぎ
 行く鳥の      群ムる・競アラソふ
 行く水の      過ぎ・留トドめかね
 木綿襷ユフダスキ    かく・結ぶ
 木綿畳ユフダタミ    たむけ・たな
 夕月夜ユフヅクヨ    暁闇アカトキヤミ・暁方アカツキガタ・をぐらし
 夕星ユフヅツの     夕べ・か行きかく行き
 木綿ユフつつみ    白
 木綿花ユフバナの    栄ゆ

 〈わ〉

 若草の       つま・思ひつく・新ニヒ
 若菰ワカゴモを     猟路カリヂ
 わが畳       三重ミヘ
 吾妹子ワギモコに    あふちの花・淡海アフミ・淡路・逢坂山アフサカヤマ・衣春日コロモカスガ
 吾妹子ワギモコを    いざみの山・早見浜
 海ワタの底      沖・奥オキ

枕詞

 逆引き枕詞

              

 〈あ〉

あ          草陰の
暁方アカツキガタ      夕月夜ユフヅクヨ
暁闇アカトキヤミ      夕月夜ユフヅクヨ
飽かざる       照る月の
明石アカシ        燈トモし火の
あがしたばへ     曇り夜の
吾アガの松原      妹イモが恋ひ
秋          露霜の
明く         明星アカボシの・いなのめの・唐櫛笥カラクシゲ・玉櫛笥タマクシゲ
飽く         明星アカボシの・紅クレナヒの
開く         唐櫛笥カラクシゲ
あしげの馬      衣手を
あすか        飛ぶ鳥の
飛鳥アスカ        今日今日ケフケフと
あさ         紅クレナヒの
朝          あからひく
麻          庭に立つ
朝立つ        朝鳥の・群鳥ムラトリの
葦アシ         花細ハナグハし
あぢ         沖つ鳥
味原アヂフ       御食ミケ向かふ
東アヅマ        鳥が鳴く
安房アハ        息長鳥シナガドリ
淡路         御食ミケ向かふ・吾妹子ワギモコに
間          石橋イハバシの
あひだもおかず    玉の緒の
あひまく       薦枕コモマクラ
あふ         君が代に・玉勝間
仰ぎ待つ       天アマつ水
逢坂山アフサカヤマ     吾妹子ワギモコに
あふちの花      吾妹子ワギモコに
近江         石走イハバシる・楽浪ササナミや
淡海アフミ        吾妹子ワギモコに
あへ         玉勝間
あへたちばな     美ウマし物
天領巾アマヒレ      しろたへの
天          久方の
雨          久方の
天の香具山      天降アモりつく
天アメの御蔭ミカゲ    高知るや
あまはせづかひ    いしたふや
あや         うまこり・呉服クレハトリ
漢アヤ         囀サヒヅらふ
あやし        小波ササナミの
競アラソふ        行く鳥の
あらはるまじ     埋ウもれ木の
荒アラぶ        五月蝿サバヘなす
荒山アラヤマ       真木マキの立つ
あられ        霰アラレ打つ
あり         あり衣ギヌの・荒磯波アリソナミ・在千潟アリチガタ・有間菅アリマスゲ
ありさりて      さな(ね)葛カヅラ
青          翠鳥ソニドリの
青葉         水鳥の

 〈い〉

い          梓弓アヅサユミ・細蟹ササガニの・白真弓・夏麻ナツソ引く・もののふの
五十イ         百足モモタらず
いかだ        百足モモタらず
行き         降る雪の
息づく        八尺鳥ヤサカドリ
行きも死なむ     射ゆ獣シシの
行く         天雲アマクモの・早川の
行く先知らず     闇ヤミの夜の
行くへもなくや    這ハふ葛クズの
伊久里イクリ       妹イモが家に
池          水ミヅ溜タマる
いざみの山      吾妹子ワギモコを
五十鈴イスズ      神風カムカゼや・拆釧サククシロ
伊勢         神風カムカゼの
いそ         小余綾コユルギの・水伝ふ
いたぶらし      波の穂の
いちしろく      白波の
いちしろし      降る雪の
出イづ         青雲の・妹イモが門カド
いつがる       ひもの緒の
いづみ        蛙カハヅ鳴く
出雲         八雲さす・八雲立つ・やつめさす
出イで立つ       群鳥ムラトリの
いと         青柳アヲヤギの・細蟹ササガニの
命          うつせみの・魂極タマキハる
いは         つのさはふ
磐垣淵イハガキフチ     玉かぎる
いはひもとほり    鶉ウヅラなす
斎イハふ        剣太刀ツルギタチ
磐余イハレ        百伝モモヅタふ
家          敷き妙タヘの
家を隔てて      ふた鞘サヤの
妹イモ         さにつらふ・玉章タマヅキの・ぬばたまの
いやしき       倭文環シツタマキ
いや遠長く      さな(ね)葛カヅラ・這ハふ葛クズの
入り         小男鹿サヲシカの
入り野        小男鹿サヲシカの
いる         梓弓アヅサユミ
入る         妹イモが門カド・ひもの緒の
色          あからひくりり・さにつらふ
色に出イず       紅クレナヒの

 〈う〉

う          卯ウの花の・夏麻ナツソ引く
鵜ウ          島つ鳥
浮かぶ        玉藻タマモなす
浮き         水鳥の
うすし        夏衣
碓氷ウスヒ        ひな曇り・日の暮グれに
内ウチ         魂極タマキハる
宇治         千早人・千早振る・もののふの
打廻ウチミ        衣手を
うづき        木コの暗クれ闇ヤミ
うつし        紅クレナヒの・玉の緒の
うつてし人      古衣
うつる        月草の
移ろひやすし     はねずいろの
移ろふ        春花の
うな         夏麻ナツソ引く
うね         玉襷タマダスキ
熟睡ウマイ        ししくしろ
馬咋山ウマクヒヤマ     春草を
海          鯨イサナ取り
うらなく       ヌエ鳥ドリの
うら泣く       ヌエ子鳥コトリ
うら野        旗薄ハタススキ
恨み         葛クズの葉に
うる         朝柏アサカシハ

 〈お〉

音オ          朝鳥の・天彦アマビコの
岡オカ         水茎の
沖          玉藻タマモ刈る・海ワタの底
奥オキ         海ワタの底
息長オキナガ       鳰鳥ニホドリの
置く         朝露の・潮船の・白露の・露霜の
奥          天雲アマクモの・玉櫛笥タマクシゲ
起く         白露の
忍坂山オサカノヤマ     青旗の
押し垂れ       琴酒を
音          梓弓アヅサユミ・天彦アマビコの・鳴る神の・春風の
おのがむきむき    這ハふ蔦ツタの
帯          しろたへの
大オホ         天数ソラカゾふ
おぼ         春霞ハルガスミ
大君         刺す竹の
大津         天数アマカゾふ
おほに        朝霧の
大野川原       真菰マコモ刈る
おほふ        玉櫛笥タマクシゲ
大宮         百敷モモシキの
臣オミ         水注ミナソソく
面影         真澄鏡マソカガミ
思ひつく       若草の
思ひまつはり     藤波フヂナミの
思ひまどふ      朝霧の
思ひ乱る       玉の緒の
親          垂乳根タラチネの
織る         唐錦カラニシキ

 〈か〉

か          朝霞アサガスミ
かからはし      モチ鳥ドリの
かかる        モチ鳥ドリの
かく         タク(栲)領巾ヒレの・細領巾ホソヒレの・真澄鏡マソカガミ・木綿襷ユフ
           ダスキ
か黒し        蜷ミナの腸ワタ
かけ         家つ鳥・玉襷タマダスキ
鶏カケ         庭つ鳥
影          真澄鏡マソカガミ
かさ         君が着る・君がさす
笠カサ         雨隠アマゴモり
笠取山カサトリヤマ     雨降れば
重ね編む       畳薦タタミコモ
かしま        霰アラレ降り
春日カスガ       朝霞アサガスミ・霞カスミ立つ・春霞ハルガスミ・春日ハルヒの・春日ハルヒを
数にもあらぬ     倭文環シツタマキ
鹿背山カセヤマ      三諸ミモロつく
片カタ         磯貝イソガヒの・級シナ照る(や)
片恋ひ        ヌエ鳥ドリの
葛カヅ         千葉の
潜カヅき        みほ鳥の
かづく        鳰鳥ニホドリの
葛飾カヅシカ       鳰鳥ニホドリの
かつら        青柳アヲヤギの
葛木山カヅラキヤマ     青旗の
かとり        夏衣
香取カトリ        大船の
かは         蛙カハヅ鳴く
川          稲筵イナムシロ
甲斐カヒ        なまよみの
かへる        白波の
返る         石葛イハツナの
帰る         船余フナアマり
鎌倉         星月夜
神          千早振る
神の香具山      天降アモりつく
神南備山カムナビヤマ    石走イハバシる
かむ         味酒ウマザケを
かも         沖つ鳥
鴨カモ         水鳥の
か行きかく行き    夕星ユフヅツの
通ふ         朝鳥の
から         唐国カラクニの
韓カラ         言コトさへく
柄カラ         囀サヒヅるや
幹カラ         冬木如ノす
からし        焼く塩の
辛荷カラニ        玉藻タマモ刈る(藻ノアル場所・地名ニカカル)
かり         夏草の
仮          月草の
雁カリ         遠つ人
かりそめ       草枕クサマクラ
猟路カリヂ       若菰ワカゴモを
軽カル         天飛アマダむ・天飛アマトぶや
離カる         冬草の

 〈き〉

紀          麻裳アサモよし
城キ          麻裳アサモよし・御食ミケ向かふ
きぎし        野つ鳥
きしみ        霰アラレ降り
きづき        八百土ヤオニよし
吉備キビ        真金マガネ吹く
来経キフ        あらたまの
諍キホふ        沖つ波
君          茜さす・刺す竹の
君を置きて      沖つ波
清き         真澄鏡マソカガミ
きる         唐衣カラコロモ

 〈く〉

繰る         玉葛タマカヅラ
草          うち靡ナビく
百済クダラ       言コトさへく
くぢら        いすくはし
国          さし並ナみの
国内クヌチ        青丹アオニよし
くま         梯立ハシタテの
久米クメ        みつみつし
くも         細蟹ササガニの
雲          しろたへの
くら         梯立ハシタテの
くる         根蓴ネヌナハの
枢クル         群玉ムラタマの
栗栖クルス        指進サシズミの
黒          うばたまの・ぬばたまの・むばたまの
黒髪         うち靡ナビく

 〈け〉

消ケ          朝霜の・朝露の・沫雪アワユキの・白露の・露霜の・降る雪の
日ケ          降る雪の
消ケぬ         月草の
消ケやすき       朝霧の

 〈こ〉

子          切り髪の
粉滷コガタ       紫の
心          肝向かふ・群肝ムラギモの
心いさよふ      雲居なす
心もしのに      雲居なす
心を痛み       射ゆ獣シシの
越コシ         しなざかる
越路コシヂ       細サザれ波
言コトだに問はず    泣く児コなす
古婆コバ        立花の
木幡コハタ        青旗の
駒コマ         ぬばたまの
こもり        虚木綿ウツユフの
隠る         入り日なす
臥コやる        槻弓ツクユミの
今宵コヨヒ        ぬばたまの
衣          敷き妙タヘの・しろたへの
衣春日コロモカスガ     吾妹子ワギモコに
声コヱなつかし     鳴く鳥の

 〈さ〉

坂手         鳥網トナミ張る
相模サガム       さねなし
栄ゆ         木綿花ユフバナの
盛り         春花の
さき         かきつばた
鷺サギ         白鳥の・タク(栲)領巾ヒレの・細領巾ホソヒレの
咲く         朝顔の
離サく         朝顔の
桜          花細ハナグハし
ささなみぢ      しなだゆふ
ささら        天アメなる
薩摩サツマ        隼人ハヤヒトの
里          玉桙タマボコの
さ寝ずは       さな(ね)葛カヅラ
讃岐サヌキ        玉藻タマモよし
騒く         あぢ群ムラの
騒ぐ         五月蝿サバヘなす
佐保         うち上る
さまよふ       春鳥の
さや         大刀タチの後シリ
さゐさゐ       玉衣タマキヌの
さゑさゑ       あり衣ギヌの

 〈し〉

志賀         楽浪ササナミや
しく         細サザれ波
敷く         稲筵イナムシロ・敷き妙タヘの
頻シく         沖つ波
しくしく       頻シく波の
しげき        木コの暗クれの
しげし        夏草の
下          埋ウもれ木の・隠コモり津ヅの・隠コモり沼ヌの
慕ひ         泣く児コなす
下ゆ         下紐シタヒモの
下よ         這ハふ葛クズの
信濃         み薦コモ刈る・み篶スズ刈る
萎シナゆ        夏草の
しの         信夫山シノブヤマ
しばしば       頻シく波の
しひ         まつがへり
鮪シビ         水注ミナソソく
しま         玉勝間
しら         タク(栲)綱ヅノの
新羅シラギ       タク(栲)綱ヅノの・タク(栲)衾ブスマ
知る         白菅シラスゲの
知れぬ        埋ウもれ木の
しろ         タク(栲)綱ヅノの
白          青雲の・木綿ユフつつみ
白シロ         タク(栲)領巾ヒレの・細領巾ホソヒレの・タク(栲)衾ブスマ
白髪         降る雪の

 〈す〉

過ぎ         行く川の・行く水の
過ぐ         露霜の・もみぢ葉の
すそ         唐衣カラコロモ
駿河スルガ       打ち寄する
すゑ         梓弓アヅサユミ

 〈せ〉

塞セく         早川の

 〈そ〉

そが         真菅マスガよし
そがひ        割サき竹の・山菅ヤマスゲの
退ソく       雲隠れ
そで         しろたへの
袖ソデ         敷き妙タヘの
空          久方の

 〈た〉

た          衣手の
手タ          釧クシロ着く
絶えず        這ハふ葛クズの
絶えぬ        夏葛ナツクズの
高し         沖つ波
宝          あり衣ギヌの
滝          石走る
たぎ         石走イハバシる
たぎつ        山川の
たすき        しろたへの
たたはし       望月モチヅキの
ただ一目のみ     玉かぎる
立ち         春霞ハルガスミ
立ちの騒き      たち鴨コモの
たつ         唐衣カラコロモ・白雲の
立つ         秋霧の・梓弓アヅサユミ・細サザれ波・水鳥の
裁つ         唐錦カラニシキ
立田タツタ        春霞ハルガスミ
たづたづし      葦田鶴アシタヅの
たで         草枕クサマクラ
たどきも知らず    天雲アマクモの・曇り夜の
たな         木綿畳ユフダタミ
たのむ        大船の
度タビ         草枕クサマクラ
旅          草枕クサマクラ
旅寝         薦枕コモマクラ
手節タブシ       釧クシロ着く
たふとし       春花の
玉          大刀タチの後シリ
たむけ        木綿畳ユフダタミ
多武タムの山      うち手折タヲり・ふさたをり
たもと        唐衣カラコロモ・しろたへの
袂タモト         敷き妙タヘの
絶ゆ         白雲の・菅スガの根の・玉葛タマカヅラ・玉の緒の・水無ミナし川
たゆたふ       天雲アマクモの・大船の
たゆひ        ますらをの
絶ゆることなく    松が根の
足る         望月モチヅキの
垂水タルミ        石走る・石走イハバシる

 〈ち〉

千江チエ  秋風の
近き         石橋イハバシの
父          乳の実の
千尋チヒロ        タク(栲)繩ナハの
茅生チフ        浅茅原アサヂハラ

 〈つ〉

束ツカ         刈萱カルカヤの
使ひ         玉章タマヅキの
月          あらたまの・ぬばたまの・久方の・行く影の
つぎつぎ       栂トガの木の
つぎつぎに      栂ツガの木の
継ぐ         玉の緒の・鳴く鳥の
筑紫ツクシ        しらぬひ
筑摩ツクマ        しなたつ
月夜ツクヨ        久方の
対馬ツシマ        在アり根よし
土          粗金アラガネの
常に         磯松イソマツの
つばらつばら     浅茅原アサヂハラ
つま         枕づく・若草の
津守ツモリ        大船の
つゆ         草枕クサマクラ
つる         むろがやの
敦賀ツルガ       百伝モモヅタふ

 〈て〉

手に取り持つ     玉釧タマクシロ
手枕         敷き妙タヘの
照る         真澄鏡マソカガミ
照れる月夜ツクヨ     茜アカネさし

 〈と〉

と          焼き太刀タチの・焼き太刀タチを
磨トぐ       剣太刀ツルギタチ
床          敷き妙タヘの
年          あらたまの
留トドめかね      行く水の
隣          さし並ナみの
舎人男トネリヲトコ     刺す竹の
飛ぶ         白鳥の・ほととぎす
遠トホ         霰アラレ降り
遠き         石橋イハバシの
遠さかる       投ぐる矢サの
遠し         風の音トの・雲隠れ
遠長し        玉葛タマカヅラ
遠長に        葛クズの根に
とみ         窺ウカねらふ
跡見トミ        射目立てて
とりかひ川      洗ひ衣ギヌ
取石トロシ        妹イモが手を
撓トヲむ        沖つ波
とをよる       弱竹ナヨタケの
とをを        割サき竹の

 〈な〉

な          名告藻ナノリソの
名          剣太刀ツルギタチ
己ナ          剣太刀ツルギタチ
なか         三枝サキクサの・三つ栗クリの
なが         績ウみ麻ヲなす
長き         タク(栲)繩ナハの
長く         根蓴ネヌナハの
長し         秋の夜の・菅スガの根の・玉の緒の・春の日の
長田         御心ミココロを
長柄ナガラ       津の国の
流る         庭潦ニハタヅミ
名木ナギ        衣手の
泣きかへらふ     鳴く鳥の
灘ナダ         鯨イサナ取り
名高ナダカ       紫の
なづさふ       黒鳥の・鳰鳥ニホドリの
難波ナニハ        葦が散る・おし照る(や)・津の国の
なのる        名告藻ナノリソの
隠ナバる        沖つ藻モの
なびく        沖つ藻モの・玉藻タマモなす
なみ         小波ササナミの
波          しろたへの
なら         恋衣
奈良         青丹アオニよし・みてぐらを
並びゐ        鳰鳥ニホドリの
並ぶ         潮船の
なりはた       光る神

 〈に〉

につらふ       かきつばた
新ニヒ         若草の
丹生ニフ        真金マガネ吹く
にほえ        つつじ花
鳰ニホの湖       級シナ照る(や)
にほひさかゆ     春花の
にほふ        かきつばた・つつじ花・紫の

 〈ぬ〉

鐸ヌテ         百伝モモヅタふ
縫ふ         唐錦カラニシキ

 〈ね〉

ね          鳴く鶴タヅの・夏草の
音ネ          朝鳥の
根          さし楊ヤナギ
音ネになく       葦田鶴アシタヅの
寝ぬ         根蓴ネヌナハの
音ネのみし泣かゆ    泣く児コなす
ねもころ       菅スガの根の  
ねもごろ       葦の根の

 〈の〉

野          夏草の
のちもあはむ     さな(ね)葛カヅラ
後もあはむ      這ハふ葛クズの
能登香ノトカ       ひも鏡
のどよふ       ヌエ鳥ドリの

 〈は〉

は          夏草の
羽易ハガヒの山     大鳥の
箱          玉櫛笥タマクシゲ
羽          しろたへの
膚          あからひく
泊瀬ハツセ        海人アマ小舟ヲブネ・隠コモり口クの
花          撫子ナデシコが
母          垂乳タラチし(の・や)・垂乳根タラチネの・柞葉ハハソバの
はひたもとほる    みどりごの
はふ         玉葛タマカヅラ
浜          鯨イサナ取り
はやぶさ       高行くや
早馬ハヤマ駅ウマヤ     鈴が音ネの
早見浜        吾妹子ワギモコを
はる         梓弓アヅサユミ
春          あらたまの・うち靡ナビく・かぎろひの・冬篭フユゴモり・み冬つ
           ぎ
張る         冬篭フユゴモり
晴れぬ        秋霧の
はろかに       玉かぎる

 〈ひ〉

ひ          天伝アマヅタふ・天アメなる・かぎろひの・指サし昇る
日          茜さす・あからひく・天照アマテるや・天アメ知るや・天アメなる・
           あらたまの・玉かぎる
桧ヒ          真木マキ裂く
引かば絶ゆ      繩海苔ナハノリの
ひく         白真弓
引く         梓弓アヅサユミ
引け         引け鳥の
久しき        瑞垣ミヅガキの
人          うつせみの
ひとへ        夏衣
ひとり        樫カシの実の
鄙ヒナ         天離アマザカる
ひのくま川      佐桧サヒの隈クマ
日の皇子ミコ      高照らす
ひも         唐衣カラコロモ・高麗コマ錦ニシキ・さにつらふ・しろたへの
開く         玉櫛笥タマクシゲ
昼          茜さす
領巾ヒレ        天飛アマトぶや
広田         御心ミココロを

 〈ふ〉

経フ          あらたまの
深し         夏草の
深め         深海松フカミルの
吹飯フケヒ        時つ風
ふし         呉竹クレタケの
ふた         玉櫛笥タマクシゲ・真澄鏡マソカガミ・みくしげの
二フタ         かき数ふ
二人フタリ並び居ヰ    水鴨ミカモなす
富士         天アマの原
藤フヂ         荒妙アラタヘの
藤江フヂエの浦     しろたへの
ふと         真木柱マキバシラ
ふりいづ       紅クレナヒの
古フル         葦垣アシガキの
古る         石上イソノカミ・鶉ウヅラ鳴く
降る         石上イソノカミ
振る         石上イソノカミ

 〈へ〉

へ          畳薦タタミコモ・焼き太刀タチの・八重畳
重ヘ          薦畳コモダタミ

 〈ほ〉

ほ          漁イサり火の
穂          刈萱カルカヤの・旗薄ハタススキ
外ホカ         葦垣アシガキの
穂積ホヅミ       八穂蓼ヤホタデを
細き眉根マユネ      青柳アヲヤギの
ほのか        かぎろひの・玉かぎる
ほのかに       朝霞アサガスミ・螢ホタルなす

 〈ま〉

まがき        秋霧の
真神マカミ        大口の
まき         子らが手を
真木マキ        奥山の
卷来マキキ        妹イモが袖ソデ
まく         薦枕コモマクラ・子らが手を
纏マく         玉釧タマクシロ
枕          敷き妙タヘの
まさき        虚木綿ウツユフの
間近し        葦垣アシガキの
待つ         遠つ人・松が根の
松          遠つ人
真土山マツチヤマ      古衣
まどへる       曇り夜の
間なく        細サザれ波
間マ無く時なし     鳴く鶴タヅの・鳴く鳥の
真野         白菅シラスゲの
真若         衣手の

 〈み〉

み          妹イモが目を・山菅ヤマスゲの
身          玉櫛笥タマクシゲ
見          深海松フカミルの
みがく        真澄鏡マソカガミ
三笠ミカサ        妹イモが着る・大君の・高座タカクラの
皇子ミコ        刺す竹の
みだる        山菅ヤマスゲの
乱る         朝髪の・朝霧の・葦垣アシガキの・刈り菰コモの・刈萱カルカヤの・菅
           スガの根の・解き衣ギヌの
道          玉桙タマボコの
短し         玉の緒の
満つ         五月蝿サバヘなす
見つ         大伴オホトモの
三つ         三枝サキクサの
三津         白細砂シラマナゴ
御津ミツ        津の国の
水城ミヅキ       水茎の
南淵山ミナブチヤマ     御食ミケ向かふ
身に添ふ       剣太刀ツルギタチ
敏馬ミヌメ        玉藻タマモ刈る
蓑ミノ         雨衣アマゴロモ
三野ミノ        百小竹モモシノの
美濃         百岐年モモキネ
三重ミヘ        あり衣ギヌの・わが畳
御裳濯川ミモスソガハ    神風カムカゼや
三諸ミモロの山      味酒ウマザケの
宮          うち日さす
みやけ        特負牛コトヒウシの
都          うち日さす・久方の
見る         真澄鏡マソカガミ
みわ         味酒ウマザケ・味酒ウマザケを
三輪山        三諸ミモロつく
美袁利ミヲリ       立花の

 〈む〉

向かふ        朝づく日・真澄鏡マソカガミ
迎へ         山たづの
むこ         玉囃タマハヤす
むすぶ        草枕クサマクラ
結ぶ         秋草の・入れ紐ヒモの・木綿襷ユフダスキ
紫          茜さす
群ムラ立つ       群鳥ムラトリの
群ムる         行く鳥の
群れ往イぬ       群鳥ムラトリの
室ムロ         妻隠ゴモる

 〈め〉

め          花筺ハナガタミ
目          あぢさはふ
女メ          萎草ヌエクサの
めづらし       望月モチヅキの
珍し         春草の・春花の

 〈も〉

もと         梓弓アヅサユミ・おふシモト
もみち        さにつらふ
もゆ         かぎろひの
守部モリベ       立花を

 〈や〉

家ヤ          妻隠ゴモる
八重         朝霞アサガスミ
八重山ヤエヤマ      朝霧の
八十ヤソ        もののふの・百足モモタらず・百伝モモヅタふ
止ヤむ時なし      細サザれ波
やま         山菅ヤマスゲの
山          あしひきの
山城         つぎねふ(や)
山田         百足モモタらず
やまと        そら(に)みつ・日の本の
大和         秋津島・敷島の
やみ         うばたまの
闇ヤミ         ぬばたまの
止ヤむ         山吹の

 〈ゆ〉

ゆ          猟人サツヒトの
雪          しろたへの
行き         降る雪の
靱ユキとりさぐり    泣く児コなす
往箕ユキミ        たもとほり
行きも死なむ     射ゆ獣シシの
行く         天雲アマクモの・早川の
行く先知らず     闇ヤミの夜の
行くへもなくや    這ハふ葛クズの
ゆくらやくら     大船の
弓削ユゲ        真鉋マガナ持ち
ゆた         大船の
夕          草枕クサマクラ・ぬばたまの
木綿ユフ        白香シラカつく
夕日         玉かぎる
夕べ         夕星ユフヅツの
夢          うばたまの・ぬばたまの
後ユリ         小百合花サユリバナ

 〈よ〉

よ          葦の根の・呉竹クレタケの
世          葦の根の・うつせみの・魂極タマキハる
横山         眉引マヨビきの
吉野         御心ミココロを
よす         小波ササナミの
よそ         天雲アマクモの・春霞ハルガスミ
淀ヨド         真菰マコモ刈る
黄泉ヨミ        ししくしろ・遠つ国
よる         梓弓アヅサユミ・小波ササナミの・白波の
夜          葦の根の・うばたまの・ぬばたまの
寄る         玉藻タマモなす
夜昼         あぢさはふ

 〈わ〉

わ          笠カサの借り手の・高麗コマ剣ツルギ・魂極タマキハる
わが大君       さにつらふ・遠つ神・やすみしし
わかやる       沫雪アワユキの
わご大君       やすみしし
別る         這ハふ蔦ツタの
沸く         五月蝿サバヘなす
別る         衣手の・這ハふ蔦ツタの
別れ         天雲アマクモの
わたり        大船の

 〈ゐ〉

猪名ヰナ        息長鳥シナガドリ
井上ヰノヘ       春霞ハルガスミ

 〈ゑ〉

ゑみさかゆ      朝日の

 〈を〉

を          玉垂タマダれの・真玉付く
峰ヲ          あしひきの
小ヲ          さ衣の
岡ヲカ         水茎の
をぐらし       夕月夜ユフヅクヨ
小佐保ヲサホ       妻隠ゴモる
小新田山ヲニヒタヤマ    しらとほふ
小野ヲノ        浅茅原アサヂハラ・浅茅生アサヂフの
麻績ヲミ        打ち麻ソやし・打ち麻ソを

逆引き枕詞


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